自己破産

破産者名簿とは? 名簿に載る条件と載った場合の影響を解説

破産すると、破産者名簿に名前が載ることがあります。
ここでは、破産者名簿とは何かどのような場合に破産者名簿に載るのか破産者名簿に載るとどうなるのかを解説します。

破産者名簿とは

破産者名簿とは、市町村が、裁判所からの通知に基づいて作成する名簿です。

裁判所は、市町村に対し、戸籍事務司掌者に対する破産手続開始決定確定等の通知について」という通達(平成16年11月30日最高裁民事局長通達(最高裁民三第113号))に基づいて、一定の場合に破産者の情報を通知します
通達の内容は、次のとおりです。

【戸籍事務司掌者に対する破産手続開始決定確定等の通知について】

標記の通知について、下記のとおり定めましたので、これによってください。

1 裁判所書記官は、次のいずれかのときは、破産者の本籍市区町村において戸籍に関する事務をつかさどる者(以下「戸籍事務司掌者」という。)に対し、当該破産者について破産手続開始の決定が確定した旨を通知する。

⑴ 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した時点において、当該破産手続に係る免責手続が係属していないとき。
⑵ 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した後に、当該破産手続に係る免責許可の申立てがすべて取り下げられたとき。
⑶ 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した後に、当該破産手続に係る免責許可の申立てのすべてについて、これを却下し、又は棄却する裁判が確定したとき。
⑷ 破産者について、免責不許可の決定が確定したとき。
⑸ 破産者について、免責取消しの決定が確定したとき。

2 裁判所書記官は、1に基づく通知をした後に当該破産手続に係る免責許可の決定又は復権の決定が確定したときは、戸籍事務司掌者に対し、当該破産者について免責許可の決定又は復権の決定が確定した旨を通知する。
付記
1 この通達は、破産法(平成16年法律第75号)の施行の日(平成17年1月1日)から実施する。
2 この通達の実施前にされた破産の申立て又はこの通達の実施前に職権でされた破産の宣告に係る破産事件については、なお従前の例による。

この通達は、裁判所のウェブサイトでも公開されています。

どのような場合に破産者名簿に載るのか

上記通達で、裁判所から市町村に破産者の情報が通知される場合がいくつか定められていますが、簡単にいうと、破産を申し立て、破産手続が開始したにもかかわらず、免責を得ることができなかった場合に、破産者名簿に載ってしまいます。

破産者名簿に載った場合の影響

破産者名簿に載っていると、市町村で身分証明書の発行を申請した際に、身分証明書に破産したことが反映されてしまいます

通常、身分証明書には次の文言が記載されます(市町村によって文言に若干の違いがあります。)。

禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない。
後見の登記の通知を受けていない。
破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない。

破産者名簿に載っていると、上記の文言とは異なる身分証明書が発行されることになります。

この身分証明書は、警備員などの制限職種に就職しようとする際に、勤務先から提出を求められることがあります。
そのため、破産者名簿に載っている状態では、資格制限のある職種への就職が難しくなります

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