自己破産

破産するとバレる? 破産の通知先と通知内容を解説

「破産すると勤務先に知られないか?」
「破産すると家族にバレないか?」
破産のご相談時によく上記のようなご質問をいただきます。

ここでは、上記のご質問にお答えすべく、自己破産をすると、誰に、どのような内容が通知されるのかを解説します。

受任通知(→債権者)

弁護士は、自己破産の依頼を受け、自己破産の準備に入ると、通常、債権者に対し、受任通知を送ります。
自己破産の場合には、基本的に、全ての債権者に対し、弁護士から受任通知を送り、債務者(依頼者)が破産予定であることを知らせます

勤務先から借入れがある場合には、勤務先も債権者に当たるため、受任通知を送る対象になります。
また、家族や知人から借入れがある場合には、家族や知人も債権者に当たるため、受任通知を送る対象になります。

なお、家族などから金銭の交付を受けた場合でも、返還の約束がはっきりとあるわけではないときには、借入れではなく贈与(援助)を受けたと考えるのが適切な場合もあります
この場合、家族などは債権者には当たりませんので、受任通知を送る対象にはならず、受任通知によって破産予定であることが知られるということはありません。

破産手続開始の通知(→債権者、財産所持者等)

自己破産の申立てを裁判所に行った後、裁判所が破産手続を開始する決定をすると、裁判所から債権者に破産手続の通知が送られます。

また、破産者に対して債務を負っている者に対しても、裁判所から破産手続の通知が送られます。
たとえば、破産者に売掛金がある場合、破産者が売掛金債権を有する取引先などにも破産手続の通知が送られます。

ただし、破産手続の通知が送られると今後の取引に支障がある場合などについては、裁判所の判断で、破産手続の通知を送らないという場合もあります。

以上の内容については、破産法32条3項に規定されています。

破産法
(破産手続開始の公告等)
第三十二条 裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 破産手続開始の決定の主文
二 破産管財人の氏名又は名称
三 前条第一項の規定により定めた期間又は期日
四 破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者(第三項第二号において「財産所持者等」という。)は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
五 第二百四条第一項第二号の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し前条第一項第三号の期間の満了時又は同号の期日の終了時までに異議を述べるべき旨
2 ……〔省略〕
3 次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
一 破産管財人、破産者及び知れている破産債権者
二 知れている財産所持者等
三 第九十一条第二項に規定する保全管理命令があった場合における保全管理人
四 労働組合等(破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第七十八条第四項及び第百三十六条第三項において同じ。)
……〔省略〕

官報公告(→不特定多数)

裁判所が破産手続を開始する決定をすると、官報に破産者の住所と氏名が掲載されます(破産法32条1項)。
具体的には、次のように掲載されます(同時廃止事件の場合)。

令和○年(フ)第○○号
北海道○○市○○
債務者 ○○ ○○
1 決定年月日時 令和○年○月○日午前○時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。
  本件破産手続を廃止する。
3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
4 免責意見申述期間 令和○年○月○日まで

官報は、官報販売所で誰でも購入して読むことができますが、実際に官報を購入して読む人はそれほど多くないのではないかと思います。

ABOUT ME
弁護士 斎藤大貴
札幌弁護士会所属の弁護士です。債務整理と債権回収を中心に、さまざまなご依頼をお受けしています。